薬膳とは、食材や食薬を用いながら、飲食、養生、健康維持や健康増進、病気の予防などを目的とした中国発祥の料理や献立のことです。中国古来の思想(薬食同源)から生まれたとされています。
薬膳で一番大事な目的は「健康」と「長寿」です。
病気にならない身体をつくるために、薬膳の知識を少し持っておく。それはきっと家族や友人の健康寿命に影響を与え、人生を健やかに導くことができるはずです。
薬膳の基礎
食養生という考え方
薬膳料理というと、薬くさい食事をイメージされる方もおられますが、季節の食材をスーパーで買って食すことも立派な食養生です。
例えば夏になると苦瓜やトマト・スイカなどの作物が収穫されますが、これらの夏野菜は体の熱をとる性質があり熱中症予防など暑い季節の体温調節を行います。
逆に冬はニラやネギ、根菜類は体の中の冷えや寒さを取り除き、巡りをよくする効果があります。
地元の物産館等ではその土地で栽培されている季節の農産物が多数販売されていますが、このような地元産で季節食材を選択することが薬膳食養生へとつながっていきます。
気血水(津液)学
気・血・水(津液)とは、人の身体を構成し、臓腑・組織・器官の機能活動の最も基本となる物質のことです。
気血水学では、気・血・水が臓腑・経絡の生理機能によりつくられたものであり、相互に影響を及ぼしあっているとされています。
陰陽五行学
陰陽学とは、世の中にある全ての物事には相反する2つの側面(表と裏)があり、互いに依存して存在しているという考え方です。
昼と夜、男と女、日と月、明と暗、上と下、左と右、東と西、背と腹、前と後のように対立・対極の面が伺えます。しかし、どちらが欠けても存在できません。対立する両面を持ちながら統一されてバランスを保っています。
人間の呼吸で例えると、呼気は出すことであり「陽」、吸気は入れることであり「陰」。片方だけでは成り立ちません。呼気と吸気は互いに依存しあって存在しています。どちらかが不足したり、増大したりするとバランスが崩れます。自然界でも人間の体でもこのバランスを保ち存在している、という考えが陰陽学説になります。
薬膳の選び方
人の「体質」は両親からの遺伝、環境・習慣・食生活、性別・年齢・精神的な素因によって決まると言われています。
各人の体質は、両親からの遺伝、性別以外の要因は日々の生活環境、年齢が変われば同様に変化していくということになります。
その中で自分の体質を理解し、体質にあった薬膳を見極め、生活に取り入れていくことが必要であり、また、季節や年月の経過により、取り入れる食材、薬膳にも変化を加えていくことが望ましいということです。